外交儀礼 2012 8 18
2012年8月16日の時事通信社のニュースには、このようなものがあります。
大統領の天皇発言で「誤解」、対立回避にじませる 韓国
【ソウル時事】韓国大統領府高官は16日、
李明博大統領が14日に行った、
天皇陛下の訪韓には謝罪が必要との趣旨の発言について、
「大統領の発言の趣旨や文脈への誤解があるようだ。誤解を解かねばならない」と述べた。
聯合ニュースが報じた。
大統領の発言をめぐっては当初、代表取材の内容として、
「(天皇陛下も)韓国を訪問したがっているが、
独立運動で亡くなった方々を訪ね、
心から謝罪をするのなら『来なさい』と言った」と伝えられた。
しかし、その後、「(天皇陛下も)韓国を訪問したいのなら、
心から謝罪をするのがよい」と訂正された。
これに関して同高官は、
「もし来るのなら、こうしなくてはならないのではという原則的な意見を言ったもの」と釈明した。
(以上、引用)
代表取材の内容が訂正されましたが、
多くの日本人には、韓国大統領の「天皇は韓国を訪問したがっているが、
心から謝罪をするのなら『来なさい』と言った」という発言が定着したでしょう。
なぜならば、訂正記事というものは、
小さな記事で紙面の片隅で報道される場合が多いからです。
誰も、そんな小さな記事は気づかないでしょう。
事の真相は、よくわかりませんが、
韓国大統領の竹島訪問の時点では、
日本の政治家は、「どうしたものか」と迷う様子もありましたが、
天皇に対する発言が伝わると、
急激に日本の政治家が強硬姿勢になりました。
天皇と政治家 2012 7 21
2012年7月19日の時事通信社には、このようなニュースがありました。
天皇、皇后両陛下は、19日午後、
東日本大震災の翌日に震度6強の地震があった長野県栄村を日帰りで訪れ、
1年4か月がたった現在も、仮設住宅で避難生活を強いられている住民らを見舞われた。
両陛下は、新幹線と車を乗り継いで村役場に到着。
その後、マイクロバスに乗り換えて、47世帯103人が暮らす横倉地区の仮設住宅を訪問。
真夏の日差しが照りつける中、30分余りにわたって住宅の間を歩いて回り、
約70人に声を掛けた。
(以上、引用)
天皇陛下は、高齢の上に心臓に病を抱えて、
今年2月には、心臓のバイパス手術を受けたばかりという状況です。
昨年も、数多くの被災地を訪問し、心臓には大きな負担がかかったと思います。
多くの国民が、「もう無理をしないでほしい」と思っているでしょうが、
それでも、陛下には、被災地に行かなければならなかった事情があると思います。
陛下の心の中には、「国民を守れなかった」という悔しい思いがあると思います。
だからこそ、高齢でも持病を抱えていても、無理して被災地に行かなければならない。
そう思っているのでしょう。
さて、天皇とは対照的に、政治家の被災地訪問は、あまり聞かない。
きっと、豪華で快適な議員宿舎に住んでいると、
政治家たちには、庶民が暮らす狭い仮設住宅など見たくもないという気持ちが強いのでしょう。
そこには、「国民を守れなかった」という悔しい思いを、彼らは持っていないと言ってよいでしょう。
どちらが政治家なのか。
天皇の方が、まだ政治家らしい気持ちを思っていると言わざるを得ないでしょう。